「不定愁訴」といわれて

「あのさー、お前のクリニックではいったい何をしてくれるのよ?」というお怒りを耳にしました。たしかにせっかく当院に興味を持っていただいた方に、ハガキのスタンプ押しとか、草むしりの記事ばかりをご覧いただくのは失礼というものです。

私たちが(ささやかですが)お役に立った一つの例をご紹介します。

■めまいやフラつきがひどい

働き盛りの男性です。とっても律儀な性格で、定時のだいぶ前には出勤して職場に一番乗りし、すみずみまで掃除して他の社員を迎えるという生活を続けていました。仕事も楽しんでおられましたし、職場での信頼も厚かったのですが、重いものを運搬するために腰痛がひどくなってしまったことをきっかけに、惜しまれながら引退しました。

重いものを持たなくなって腰痛は良くなったものの、今度はしつこいめまいに悩まされるようになりました。朝に新聞を読んだあとトイレに行こうとすると、立ちくらみがして倒れそうになります。足元が揺れるような気持ち悪さがいつまでも続き、これは大変だと病院に行きました。しかし、耳鼻科や脳外科、内科に診てもらっても、「異常ありません」「様子を見ましょう」と言われるだけでした。

「症状はバリバリあるのに様子を見れと言われても・・」と、どうしたらよいかわからないので、マッサージや鍼灸に通いはじめ、使うお金も月々10万円以上になりました。さすがにこれでは家計が持たないということで、ご相談にこられました。

よくよく聞けば、職場をやめてから毎日張り合いがないとおっしゃいます。食事も摂れず夜も眠れず体重も減ったようです。チェックリストなどでは、立派なうつ状態でした。

「治療しなければいけないのはわかったが、抗うつ薬はなんとなくおっかない。クセになるんじゃないか」と不安をおっしゃっていました。よくよくご希望を伺った上で、これまでとは違うアプローチを試しましょうか、ということになりました。

めまいからなんとかしてくれ、とのことで漢方薬として「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」をトライしました。飲み始めて2週間ほどで、めまいが軽くなったとおっしゃいました。月単位で飲んでいただくいたところ、めまいも気にならなくなり、元気にお過ごしです。当院は保険診療ですので、10万円かかっていたのが数千円に収まりました。

いろんな医療機関を回っても、どうしても治らなかった症状がある方がいらっしゃるかもしれません。時間はかかるかもしれませんが、当院としては、いっしょに試行錯誤して良い方向に向かうためにお手伝いができたらと思っています。



当院から館腰駅に向かう道には、花がたくさん咲いています。今日は鮮やかな赤い色が目に飛び込みました。みなさん庭造りも家庭菜園も立派です。


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