カキが色づいてきました

当院のすみっこにある柿の木。

「桃クリ三年、カキ八年」と習いましたが、植えたその年からちゃんと実がなりました。
ただ、台風だの大雨だのには勝てず、実が落ちてしまいましたが。



9月10日の「生薬づくり体験会」では、カキの葉茶を提供しようと思ったのですが、まだ木が小さく、葉っぱがたくさん取れないのでなくなく断念しました。木が育ったらのお楽しみにしていただければ幸いです。


柿の葉といえば、院長が学生の頃に青春18きっぷで旅に出た思い出がよみがえります。
20何科目もある試験が終わって、結果が出るまでの間、現実逃避をすることにしました。奨学金を幾重にも借りて、大学に通っていた私。医学部は全科目が必修ですから、どれか一つでも落とすと留年です。同級生もみんな、試験は終わっても晴れない気持ちで夏休みに突入です。

まだ20世紀の話です。数千円で高速バスに乗れる今とは違います。貧乏旅行のお供は18きっぷ。各駅停車で東北本線をのぼり、大垣夜行に乗り、何度か乗り換えて京都まで行ったところ、ふと海が見たくなりました。

敦賀とか舞鶴あたりで日本海にいくのが近いのでしょうが、当時はいろいろ悩んでいたこともあって、明るい日差しと太平洋が見たくなりました。みどりの窓口の時刻表をみて紀勢本線の夜行快速・新宮行に狙いを定め、ボックス席に身を沈め、いざ南紀へ。

目をつぶっても、学生がうじゃうじゃいて眠れたもんではありません。オレンジと緑の塗色の電車には、たしかエアコンもついてなくて、JNRと書かれた扇風機が回っていただけだった気がします。

寝苦しい夜を過ごしていると、和歌山駅に止まりました。ガイドブックを買う金もないので、出たとこ勝負の旅です。駅のホームに「柿の葉寿司」の看板がありました。当然、和歌山駅を通過する時間には駅弁屋さんが空いているわけはないのですが、めったに来ない和歌山で名物というものを食してみたいという衝動が起こります。

看板をじーっと眺めていた私がよっぽど気の毒に思えたのか、向かいの席のおいちゃんが、「おお、兄ちゃん食うか?」と、手持ちの柿の葉寿司の包みを開けて差し向けてくれました。遠慮もせずにおいしくいただきました。サバのすしを柿の葉でくるんだのが柿の葉寿司と理解していますが、時間が経つと味がしみておいしくなるそうです。文字通りいい塩梅でおいしかったです。

柿の葉すし本舗 田中さんのwebから引用です。
「柿の葉はビタミンCが豊富で、ポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれ、抗菌・抗酸化作用に優れ、すし飯を乾燥から防ぐ以外に保存性を高める効果があると言われています。また、鯖をはじめとする青魚にはコレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ成分が含まれるとされ、すし飯に使うお酢の効用も広く知られています。」

旅情というか、人の温かさにふれた貧乏旅行でした。

台風の影響で関西空港とかその周辺が大変なことになっていますね。
和歌山や泉南エリアがニュースに出ると、私は柿の葉寿司を思い出します。
早い復旧をお祈りしております。

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